1.デメリット
①相続に比べると登録免許税と不動産取得税が高くなる
土地や建物の所有者を変える場合は、名義変更が必要になります。
名義変更に係る税金には登録免許税と不動産取得税の2つあり、贈与と相続では以下のように異なります。
相続よりも生前贈与の方が高くなります。
<建物の登録免許税>
贈与 → 固定資産税評価額×20/1,000
相続 → 固定資産税評価額×4/1,000
<建物の不動産取得税>
贈与 → 固定資産税評価額×3%
相続 → なし
②アパートに対する借入金や敷金がある場合は、建物の評価額が高くなる可能性がある
贈与をする際の建物の評価額は、固定資産税評価額の金額です。
貸している建物の評価額は、固定資産税評価額の7割と低い金額となります。
しかし、賃貸物件には、建物に係る借入金や敷金という債務がつきものです。アパートという財産にもれなく債務が付帯する贈与のことを負担付贈与といいます。負担付贈与の場合は、建物の評価額が時価となり、固定資産税評価額よりも高く、さらに7割とすることもできませんので、建物の評価額が高くなってしまいます。
ただし、敷金については、建物の贈与と同時に、敷金の金額分の現預金の贈与の行うことで、負担付贈与に該当しないこととすることができます。
③土地の評価が高くなる可能性がある
建物を生前贈与すると、相続時の土地の評価額に影響する場合があります。
土地と建物を同じ人が所有している土地は、貸家建付地として評価され、通常の土地よりも低く評価されます。
新潟市の多くの場合、通常の土地よりも15%(※)を減額することができます。
上記を踏まえると、土地は親、建物は子の場合、上記の条件を満たさず、土地の評価は15%減額は採用できないように思えます。
しかし、条件を満たすことで15%減額をすることができます。
その条件とは、親が建物を所有しているときから、子供に贈与したあとも建物を借りている人が、変わらないことです。借りている人が変わらないまま、相続が発生した場合は、土地を15%の減額である貸家建付地として評価することができます。
(※)地域によって減額の割合は変わります。
2.まとめ
前回のメリットに比べると専門用語が多く出てきて難しく感じられたかもしれません。
全体を通して、生前贈与は慎重な検討が必要であるということが改めて体感できたのではないでしょうか。
ここで、2回分のまとめをしましょう。
生前に建物を贈与することの効果
●親子全体での所得税の負担を軽減することができる。
●建物とその建物から生まれる収入を相続財産から外すことができ、相続税を減らすことができる。
×登録免許税と不動産取得税が高くなる
△負担付贈与になると建物評価額が高くなる(一定の条件を満たすと回避することができる)
△土地の評価額が高くなる可能性がある(一定の条件を満たすと回避することができる)
メリット、デメリットを3つずつ説明をしてきました。
とはいえ、判断の材料として主なものの説明に過ぎません。贈与される方の年齢なども考慮し、贈与・相続を総合的に考える必要があります。賃貸アパートをお持ちの方で、今回の内容について検討したいという方は、ぜひ一度弊社にご相談ください!
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