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相続お役立ちコラム

相続登記が義務化!土地を国庫に帰属できる制度も

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所有者がわからなかったり、所有者がわかったとしても連絡がつかなかったりする土地のことを『所有者不明土地』といいます。
登記簿や課税台帳等の土地所有者がわかるデータベースが、相続の際にきちんと更新されていないことが主な原因であるため、対策として法整備が進められています。
そのなかの一つが、2024年をめどに施行される『相続登記の義務化』で、これは土地や建物の相続を知った日から3年以内に登記を行うことを義務づけるものです。
今回は、『相続登記の義務化』について説明します。
 
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増え続ける所有者不明土地

 
国土交通省によれば、日本全国の土地の所有者不明率は約2割、土地面積に直すと約410万haとなります。
九州の土地面積は368万haであることから考えても、これは相当大きな面積であるといわざるをえません。
 
所有者不明土地は、土地の相続時に遺族が相続登記(名義変更)を行わなかったり、所有者が所在不明になったりすることが原因で生まれ、今なお増加傾向にあります。
 
現状の法制度では相続登記は任意とされているため、放置されることも多いのが現状です。
結果として、遺産分割をしないまま相続が繰り返されることにより、土地の共有者が増え、共有者全員と連絡が取れなくなった末に、所有者不明土地となってしまうケースもあります。
 
土地を売却する際には所有者全員の同意が必要ですが、所有者不明土地の場合、何世代にもわたる相続人全員に連絡を取るには多大な手間やコストがかかりますし、そもそも連絡が取れない可能性もあります。
そうなると、公共事業や再開発の妨げになるばかりか、土地取引の機会を奪い、不動産の流動性が低くなるなどのデメリットが生じます。
所有者不明土地があることによる経済的な損失額は、約6兆円にもなるという試算も出ています。
 
 

所有者を明らかにするための法改正

 
所有者不明土地を減らしていくには、土地の所有者にきちんと登記をしてもらい、権利の所在を明らかにしておく必要があります。
 
そこで2021年4月には、所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直しとして、『民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法』が成立しました。
 
これにより、土地や建物を相続したことを知った日から3年以内に登記を行うことが、2024年をめどに義務化されることになりました。
そして、遺産分割で所有者になった場合には、分割の日から3年以内に登記を行わなければならなくなり、もし、正当な理由なく3年以内に登記を行わなかった場合は、10万円以下の過料に処せられることになります。
 
また、登記後に転居などによって所有者の連絡先がわからなくなってしまうことがないように、所有者の氏名や住所に変更があった場合には、変更のあった日から3年以内に変更登記をすることも、2026年までに義務化される予定です。
これに違反した場合は5万円以下の過料に処せられます。
 
 

所有者不明土地の発生を防ぐための制度

 
土地を相続した際に、一定の条件を満たすことで国庫に帰属させることのできる制度(相続土地国庫帰属制度)も新設されます。
 
所有者は、負担になる可能性のある農地や山林などを手放したいときに、法務局に申請して、審査を経ることで国有地にすることができるのです。
ただし、建物がある土地や、境界線や所有権などの紛争を抱えている土地、道路などへの使用が予定されている政令で定められた土地などは、国庫に帰属させることはできません。
また、土地を手放してからも10年分に相当する管理費を国に支払う必要があります。
 
今回の改正により用意されたのは、相続登記の義務化、住所変更登記の義務化とあわせて、所有者不明土地の発生を予防するための制度です。
土地を所有し続けることと、手放すことのメリット・デメリットをよく考えたうえで、制度を利用するかどうかを選択しましょう。
 
これらの法改正は施行までに期間があります。
しかし、もし現状で相続登記が済んでいない土地があるのであれば、将来売却するときのためにも、今のうちから登記しておくほうがよいでしょう。
 
※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。

一部の相続人が財産を隠している……? そんな時の対応法とは

相続の際に起こりがちなトラブルとして、亡くなった方と近いところで暮らしていた親族が遺産を隠しているのではないか、と疑われるケースがあります。
亡くなった方の財産の全容を、相続人全員が知っていれば問題はないのかもしれませんが、実情としては、離れて暮らしている親族のほうが、亡くなった方の財産管理については疎いものです。
今回は、そのような疑いをもった時にできることとして、相続財産の把握方法や調査について解説します。
 
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相続財産を把握するためにとれる手段

 
親族が亡くなった際、被相続人と同居していた相続人が、相続財産の詳細についてなかなか教えてくれないといったトラブルは、実はよく起きています。
自身が遠くに住んでいる相続人の立場だった場合、どうすれば被相続人の相続財産(遺産)を把握できるでしょうか。
 
この場合、まず、同居の相続人が相続税申告のために作成した遺産の目録から、相続財産の概要が判明することがあります。
相続財産が相続税の基礎控除額を超える場合、相続開始から10カ月以内に相続税を申告する必要があり、この申告は、相続人全員で申告するのが原則であるためです。
 
一方、相続税が課税されるほどの財産ではなかった場合などは、上記のような資料が存在しないこともあります。
その場合は、被相続人と生前に同居していた、もしくは生前の財産管理をしていた相続人に対し、相続財産の内容がわかる資料等の開示を求めるのがよいでしょう。
 
 

意図的に財産を隠しているなら調査を

 
では、一部の相続人が意図的に相続財産を隠していた場合などに、それらを明らかにすることはできるでしょうか。
 
この場合、一定の範囲ではありますが、調査は可能です。
具体的には下記のような調査を行っていきます。
 
(1)不動産の調査方法
不動産については、市町村から春先に送られてくる固定資産税の納付書等を頼りに、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地近辺の自治体に「名寄帳」を請求して取り寄せれば、ほとんど漏れなく把握することができます。
 
(2)預貯金の調査方法
預貯金についてですが、被相続人の最後の住所地近隣にある全ての金融機関に照会をかければ、概ね把握することができます。その際、残高証明書や取引履歴を取得し、被相続人の亡くなった時点の口座残高や、数年前から現在までの入出金を確認することができます。
もっとも、被相続人が最後の住所地から遠方の金融機関に預金口座を保有していたような場合には、その存在を正確に把握することができない場合があります。
 
(3)株式などの有価証券の調査方法
株式等の有価証券を保有していた場合も、被相続人が利用していた証券会社等に照会をかければ概ね判明しますが、これにも、限界があります。
 
最近では、民間企業のなかに、こうした名寄せ行為に近いサービスを行うところも増えていますので、それを利用するという方法もあるでしょう。
 
こうした調査で得た情報を精査することで、知られていなかった財産が新たに見つかるケースもあります。
ただし、これらの調査は、範囲を広げれば広げるほど費用もかかりますので、進め方についてはよく考えることが大切です。
 
 

財産の全容が不明なまま遺産分割手続きに至った場合

 
財産の全容が明らかにならないまま、裁判所での遺産分割手続きに入らなければならなくなるケースもあります。
その場合、裁判所から、相続財産をすべて明らかにするように相続人に促すことが多いので、その時点で資料が開示されることもあります。
 
それでもなお、特定の相続人が、頑として相続財産のすべてを開示しないという場合は、「遺産がもっとあるはずだ」として、法的に、裁判所を介した財産の照会手続きをとることができます(『調査嘱託』といいます)。
これは裁判所が積極的に動くわけではないため、相続人側が調査対象を特定する必要があります。
 
一部の相続人が財産を隠し、必要な情報を開示してくれないケースでは、相手方に開示を求めるとともに、裁判所の手続きに至る前に、適切な(または、調査にかけられる費用等を踏まえた有効な範囲での)調査・準備をすべきでしょう。
長い時間が経ってしまうと、最初にあったはずの財産が減ってしまっていたといった、別のトラブルが起きてしまう可能性もあります。
財産の全容について知りたい場合は、なるべく早く対策に動くほうが望ましいといえます。
 
※本記事の記載内容は、2021年7月現在の法令・情報等に基づいています。

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内縁のパートナーと関係が終了 財産分与や相続の権利はある?

今回は少し趣向を変えて、「内縁関係」の相続について考えてみましょう。
 
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昔から、様々な事情により婚姻の届け出をせず、いわゆる内縁・事実婚関係で生活している人たちは多いといわれています。
このような内縁・事実婚関係と法律婚の違いは、法律で求められている“婚姻の届け出”を行っているか否かで、生活実態が大きく異なることはありません。
しかし、この婚姻の届け出の有無(法律上、婚姻関係にあるか否か)によって、パートナーとの関係解消・死別の場面での法律上の保護の度合いが異なります。
 
 
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事実婚の解消…財産分与はできる?

 
法律婚の夫婦が離婚した場合、民法上、『財産分与請求権』という“婚姻生活中に夫婦で築いた財産を夫婦で分け合う権利”が認められています(民法768条)。
一方、内縁・事実婚の場合は、“婚姻の届け出”という法律上求められた手続を行っていないため、民法上の“夫婦”には該当しません。
そのため、民法768条を直接適用することはできないのです。
しかし判例では、事実婚も法律婚も生活実態にほとんど差異がないといえるため、『内縁・事実婚関係について、法律婚に準じた法的保護がされる』としています(準婚理論)。
 
このことから、内縁・事実婚においても、パートナーとの関係解消の場面では離婚の場合と同様に財産分与請求権が認められています。
ただし、内縁・事実婚関係は、法律婚の夫婦関係のように戸籍に記録が残りません。
そのため、内縁関係の存在自体が争われた場合には、財産分与を請求する内縁配偶者が“内縁関係であったこと”を様々な資料などに基づいて証明しなければならないのです。
このような点で、法律婚より内縁・事実婚の方が、権利行使のための手間が増える可能性はあります。
 
 

パートナーと死別…遺産の相続権はある?

 
一方で、パートナーと死別した場合はどうでしょうか。
結論からいうと、内縁・事実婚のパートナーには一切、相続権が認められていません。
この結論に対して、『内縁・事実婚のパートナーの地位が保護されるべきなのは、離婚でも相続でも変わらない。離婚の場合と同様の財産分与請求権の行使を相続時にも認めるべき』との主張もありました。
しかし、判例は“離婚における財産分与の場面(夫婦の財産関係の清算)と、死別による相続の場面(遺産の承継)は、想定している法律関係の質が異なる”という考えから、これを否定しています。
 
内縁関係解消の際の結論に比べ、“判例の結論が形式的すぎる”と思われる方もいるでしょう。
しかし一方で、法律には明確性・安定性ということも求められます。
つまり、救済のためだからといって、法律の文言から直接適用できるかわからない事案に対してまで安易に法律の適用関係を広げると、“何が法律の定めるルールなのかが不明確になり、社会秩序が乱れる”ともいえるのです。
結論の妥当性をとるのか、ルールの公平性をとるのか。
非常に悩ましい問題ですね。
 
 

内縁のパートナーが特別に相続を受けられる2つの方法

 
現状、内縁・事実婚のパートナーに遺産を承継させたい場合には、事前に対策を講じておく必要があります。
 
まず1つ目は「生前に贈与してしまう」という方法です。
当然のことですが、生前に財産の贈与を受けておけば、その財産をパートナーの死亡後も自身のものとして利用することができます。
 
そして二つ目として「遺言書を作成しておく」という方法です。
パートナーが生前に遺言書を作成しており、その遺言書に「一定の財産を内縁関係者に遺贈する」などの財産の承継が明確に記載されている場合には、その遺言書に沿った遺産の承継が可能となります。
 
ただし、生前贈与や遺言書での遺産の承継に関しては、法律上の遺留分権利者から「遺留分侵害額を支払え」との請求が行われる場合があるので注意が必要です。
※遺留分についてはこちら→遺言により、取り分が少ない場合は?
 
“内縁・事実婚”だけではなく、社会の意識は、現在の民法が制定された時から比べて、かなり変化しつつあります。
しかし、現在の法制度を変えるにしても、どこでルールの線引きをするかは難しい問題です。社会制度の変化を期待するだけではなく、現在の状況を前提に『万が一に備えて、どのような手段があるのかを知り、対策を講じておくこと』が重要です。

不動産が含まれる相続財産を相続人全員が納得する形で分けるには?

相続が開始したとき、最も相続人の間で揉めるのが『遺産分割』に関することといえます。
相続財産が簡単に分割できるものであればともかく、土地・建物などの分割しづらい財産があると、その分け方をめぐって相続人同士のトラブルの火種になりかねません。
では、相続財産に不動産があった場合には、どのような分割方法があるのでしょうか。
今回は、主な4つの分割方法について説明します。
 
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遺言がない場合には遺産分割協議が必要

 
被相続人が亡くなったら、相続人と相続財産の調査を行った後、相続人全員で財産を誰にどう分けるかを話し合います。
この話し合いのことを、遺産分割協議といいます。
 
相続財産は、相続が開始した時点で、相続人全員で共有している状態になります。
被相続人が遺言を残していたのであれば、遺言の内容に従って財産を分ける手続きをすれば済みますが、遺言がない場合には遺産分割協議を行わなければ、財産を相続人の名義にすることはできません。
なお、遺産分割協議は、遺言があったとしても、その内容に納得ができないなどの理由がある場合にも、相続人全員の合意があれば、行うことが可能です。
 
遺産分割協議で遺産の分け方が決まったら、遺産分割協議書という書面に残しておく必要があります。
遺産分割協議書の書式には特別なきまりはなく、パソコンでも手書きでもかまいません。
必ず相続人全員が署名し、実印で押印するようにしましょう。
 
ただ、遺産分割は財産の内容によってはなかなか話がまとまらないことが多くあります。
特に、財産のなかに不動産が含まれる場合は、法定相続分どおりに分けるのは難しいといえます。
そこで、できるだけ全員が納得いくように分けるために、不動産を含む遺産分割では、以下の4つの分割方法が多く使われています。
 
(1)現物分割
(2)換価分割
(3)代償分割
(4)共有分割

 
このなかで、一番対応がしやすく、トラブルが起きづらいのは(2)の換価分割と(3)の代償分割です。
(1)から順に具体的に見ていきましょう。
 
(1)現物分割
 
現物分割は、遺産そのものを現物で分ける方法です。
ケースとして最も多いのは、不動産のほかに財産がある場合に、一つの不動産を一人の相続人が相続し、それ以外の財産をほかの相続人で分ける形です。
不動産自体を分割することなく、そのまま相続人が取得できるので、手続きとしては最も簡単といえるでしょう。
ただし、相続財産が不動産しかない場合、“それ以外の財産をほかの相続人で分ける”ということができないため、揉める可能性があります。
なお、遺産を各相続人の相続分きっかりに分けることが難しく、相続人間の取得格差が大きくなってしまうときは、一部の資産を売却するなどして、その格差を売却代金で調整したり、自己資金で調整(代償分割)したりします。
 
(2)換価分割
 
換価分割は、相続財産である不動産を売却し、その売却益を相続人間で分割する方法です。
たとえば株券や不動産などの相続財産の、全部あるいは一部を売って現金化し、相続人全員で分けることになります。
不動産を相続するメリットがない、もしくは現物分割・代償分割が難しいといった場合などに多く用いられます。
残された不動産が子どもの頃から住んでいた自宅であったり、慣れ親しんだ土地であったりするなどの場合、不動産を手放すことに抵抗がある人もいるかもしれません。
しかし、現金化すれば平等に分けることができるため、実際にはトラブル回避のために、選ばれることの多い方法です。
 
(3)代償分割
 
代償分割は、特定の相続人が不動産などの現物を相続し、その代償として、ほかの相続人に不動産の相続分に値する金銭を渡す方法です。
たとえば、相続人が兄弟二人の場合、長男が5,000万円の価値となる土地建物を相続するとします。
その際、被相続人の残した預貯金が3,000万円あれば、弟に預貯金3,000万円と、不動産の相続分に見合った現金(代償金)を渡します。
このケースの場合、相続財産の総額は8,000万円なので、兄が弟に1,000万円を渡すことによって一人当たりの相続分を4,000万円ずつとします。
 
なお、代償分割を行う際には、
 
●不動産を相続した側が現金を用意する必要がある
●遺産分割協議書を必ず作成し、相続後のトラブル防止に備える

 
の2点を忘れないことが大切です。
代償分割は、きちんと手続きを行えば基本的に相続税の課税対象にしかなりません。
代償金の受け渡しは相続財産の調整として扱われ、相続税の総額は変わらないのです。
ただし、そのためには遺産分割協議書内に代償分割に関する記載をしなければならず、そうでない場合は、代償金の支払いが贈与とみなされ、贈与税が課税される恐れがあるため注意が必要です。
 
(4)共有分割
 
共有分割は、一つの不動産を相続人同士で共有名義にする方法です。
共有と聞くと一見簡単で、トラブルが起きなさそうな方法に思えますが、財産利用の自由度が非常に低く、たとえば、不動産を売却したり賃貸物件にしたりする場合に、名義人全員の同意が必要となり、手間がかかります。
さらに、共有者に相続が起こると、ますます共有者が増えて所有権が複雑になる恐れがあります。
そのため遺産相続全般において、共有分割はできるだけ避けることが多いのが実情です。
 
 
このように、不動産を相続する際にはさまざまな方法があります。
遺産相続で揉めないためには、生前に遺言を残してもらうことが一番ですが、遺産分割協議をすることになるのであれば、全員が納得する遺産分割になるよう心がけることが大切です。
 
 
 
※本記事の記載内容は、2021年4月現在の法令・情報等に基づいています。
 
 
 

二世帯住宅は登記に注意?小規模宅地等の特例が適用されないことも

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小規模宅地等の特例とは、一定の要件を満たした人が亡くなった人の住んでいた土地や事業地を相続すると、その土地の評価額が、最大で80%減額されるという制度です。
減額前の満額評価額に対して相続税がかかると、生活の基盤となる今まで住んでいた家や事業を手放さねばならない人が出るため、そうした酷な状況を招かないようにと創設されました。
しかし、同じ家に住んでいても、二世帯住宅であった場合、登記のしかたによっては、小規模宅地等の特例が使えなくなることがあります。
今回は、小規模宅地等の特例と登記の注意点について解説します。
 
 
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小規模宅地等の特例とはどういう制度か

 
まず小規模宅地等の特例についておさらいしておきましょう。
 
小規模宅地等の特例は、被相続人等が相続開始の直前に自宅の敷地として使っている土地等や事業用として使っている土地等について、一定の要件を満たす場合に土地等の評価額を減額して相続税を計算する制度です。
事業用として使っている土地等については、事業内容により50%または80%、自宅として使っている土地等については80%が減額されます。
 
『小規模宅地等』という名のとおり、この特例では、適用可能面積の上限が設定されており、自宅の場合は330平方メートルまでとされています。
 
被相続人の自宅の敷地の場合、小規模宅地等の特例が使えるのは、被相続人の配偶者、被相続人と同居していた親族や、特定の条件にある自宅を所有していない親族です。
同居していない親族も、一定条件を満たすことで制度を利用することができます。
 
 

同居親族なのに特例が使えないケースも?

 
小規模宅地等の特例は、相続税を減額できる大きなチャンスです。
しかし、条件が複雑なため、適用される条件かどうかを事前に確認しておく必要があります。
 
今回は、二世帯住宅を建てて被相続人と一緒の建物に住んでいた息子が相続人となるケースを想定してみましょう。
 
二世帯住宅で親子世帯が同居していた場合、その住まい方は以下の2つに分けることができます。
 
(1)一軒家の1階は親世帯、2階は子ども世帯とし、家の中にある階段などを使って移動する場合(非分離型)
(2)一軒家で1階は親世帯、2階は子ども世帯とするが、1階と2階の入口は別で、移動するときは外の階段を使う場合(分離型)

 
さらに建物を登記するときの方法も、以下の3つのケースに分けることができます。
 
(1)建物を親子の共有にし、共有登記をする
(2)建物を親の所有とし、登記も親名義で単独登記にする 
(3)建物の所有権を親と子の各専有部分で分割し、それぞれが区分登記を行う

 
ちなみに、(3)の区分登記について少し解説を加えましょう。
区分登記をするには、建物の各部分に構造上、利用上の独立性があることが要件とされています。
たとえば、複数の世帯が住む分譲マンションを購入するときには、自分の部屋だけを購入して登記します。
二世帯住宅の建物であってもそれと同じで、構造上、利用上独立した専有部分のある建物であれば、区分建物として、親と子それぞれで分けて区分登記することが可能なのです。
 
さて、このなかで、(1)の建物を親子の共有にして共有登記をする、と、(2)の建物を親の所有とし、登記も親名義で単独登記にするという2つのケースについては、相続開始時点で被相続人と親族(息子)が同居しているとみなされるため、要件を満たせば小規模宅地等の特例を使って相続税評価額を大きく下げることができます。
 
しかし、(3)の二世帯住宅の建物を区分登記していた場合、別々の家に住んでいたとみなされ、同居していることにはならないので、小規模宅地等の特例を使うことはできません。
このように、同じ構造の建物であっても登記方法によって、特例が使えなくなってしまうケースがあるのです。
 
 

区分登記の二世帯住宅で特例を使うには?

 
たとえば、1階部分と2階部分が構造上、利用上独立した建物であり、1階部分は父名義、2階部分は息子名義の区分建物として登記がされている二世帯住宅の敷地には、小規模宅地等の特例は適用できません。
 
もし区分登記をしてしまった二世帯住宅で、将来、親が亡くなったときに小規模宅地等の特例を使いたいと考えている場合には、どうすればよいのでしょうか。
 
まず方法としては、相続開始前までに区分登記を解消し、単独登記、または共有の登記に直すことで、特例の対象となることができます。
 
現状で区分登記になっているかどうか分からないときには、法務局で登記事項証明書を取り寄せて確認するとよいでしょう。
 
このほかにも、小規模宅地等の特例については、非同居であっても特例が適用される場合など、さまざまなケースがあります。
 
相続税額を劇的に下げることのできる制度ですが、税制改正によってたびたび適用条件が変わっていることもあり、活用を検討する際には確認が必要です。
 
 
※本記事の記載内容は、2021年4月現在の法令・情報等に基づいています。
 
 
 

 

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