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相続の基礎知識

遺言書の種類

遺言書と聞いて、すぐに思いつくのが封筒に入った自筆の遺言ではないでしょうか。
しかし、遺言書は作り方によって呼び方が異なります。
また、それによって取り扱いの方法が異なりますので、注意が必要です。

自筆証書遺言とは

自筆証書遺言とは一番手軽に作成できる遺言書です。
遺言の全文、日付、指名を自署し、これに押印することによって成立します。
遺言書の内容は相続人の損得に関係してきますので、遺言書が発見された場合、偽造される危険性があります
保管場所には十分気をつけましょう。同時に、自身で管理することで保管場所がわからなくなり、紛失するケースもありますので、注意しましょう。
よくある保管場所としては銀行の貸金庫があります。
死後に相続人による財産調査のため直ちに見つかる場所かつ、生前は本人しか開閉することができないため、保管場所に適しています。

公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、公証役場で公証人に作成してもらう遺言のことです
確実な遺言を行いたい人には公正証書遺言がおすすめです。
公証人が要件を確認しながら作成するため、自筆証書遺言のように作成時に不備が発生したり、無効になる危険性はほとんどありません。
公正証書遺言は、原本・正本・謄本の3部が作成されます。
正本・謄本は遺言者に渡され、原本は公証役場で保管されます。

公正証書遺言の正本と謄本は遺言者本人に手渡されますので、謄本は遺言者が貸金庫など見つかりにくい場所に保管し、正本は遺言執行を依頼する方などに預けておくのが1つの確実な方法です。

秘密証書遺言とは

秘密証書遺言は遺言書を相続人等に知らせることなく秘密で作成することができます
秘密証書遺言の最大の特徴は、遺言の内容を遺言者以外に知られることなく作成できる点です。
自筆証書遺言も同様ですが、遺言の内容は秘密にする必要があっても、存在自体を秘密にする必要がなければ、
遺言の存在を公証してもらう秘密証書遺言方式の方が、偽造などの危険性が低くなります。

当事務所では最も実現性の高い公正証書遺言をおすすめしております。
遺言に関するご相談にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

遺言書の書き方

遺言は種類によって、法律で書き方が決められています。
せっかく書いた遺言書に不備があっては何の意味もありません。

自筆証書遺言と公正証書遺言の書き方についての説明致しますが、のちのちのトラブルを避けるために専門家にアドバイスまたはチェックを依頼し、遺言書を作成されることをおすすめします。

自筆証書遺言の書き方ポイント

○全文を自筆で書いてください
○縦書き、横書きは自由で、用紙の制限はありません
○筆記具もボールペン、万年筆など何を使用しても構いません
○日付、氏名も自筆で記入してください
○捺印をしてください(認印や拇印でも構いませんが実印が好ましいです)
○加除訂正する時は、訂正個所を明確にし、その個所に捺印の上署名してください

公正証書遺言の書き方

○証人2人以上の立会いのもとで、公証人役場へ出向いてください
○遺言者が遺言の内容を公証人に口述してください
(聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、または筆談により口述に代えることができます)
○公証人がその口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させてください
○遺言者および証人が筆記の正確なことを承認したうえで各自が署名捺印してください
○公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記し、これに署名捺印してください

証人・立会人の欠格者について

遺言執行者は証人になることが認められていますが、未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者、及び直系血族は証人にはなれません。

また、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇用人も同様に証人にはなれません。

遺言書のメリット

遺言とは、個人の意思を整理し、相続人に言い残すことです。
その遺言を書面にて残したものが遺言書です。
「うちは、遺言書なんて必要ない」と考えておられる方もいらっしゃるかと思います。
現在は、家族の仲が円満なため大丈夫と思われるかもしれませんが、金銭が絡んでくると他者が介在してくるためどのような状態になるかわかりません。

家族の関係がこじれないようにするためにも遺言書は、とても重要な役割を果たします
遺言書を残すには様々なメリットがあります。

相続人以外にも財産を渡すことができる

遺言によって実現できることは意外にたくさんあります。
たとえば、「この家は次男に相続したい」「この現金は長女に渡したい」というように、相続させる財産を誰に相続させるかを指定することができます
それは、同様に親族以外にも財産を残すことができます
事実婚の状態にある配偶者、介護で世話になっている長男の嫁などは相続人にあたりません。
つまりそのような人たちには相続遺産は分割されないということです。
もし、財産の一部を残してあげたいと考えるのであれば、遺言の作成によって実現することができるのです。
遺言がなければ、相続人全員が集まり、法定相続分通りにどの財産を誰がもらうか話し合いで決めることになります。
相続人の中には「寄与分」を求めてくる人もいるでしょうし、具体的な分割の方法がまとまらないこともよくあります。
遺言を残すことは遺産分割に関わるトラブルを回避するうえでも重要です。

トラブル回避ができる

わずかな財産であっても、いざ相続となると「少しでも多くもらいたい」という心理が働きトラブルが生じるケースが多くみられます。
相続するだけで手に入る財産があれば、自然と争いに発展する可能性は高くなってしまうものです。
さらに、こういったトラブルには第三者の思惑が関わってくることもあります。
たとえば、相続人同士で話が済んでいても、相続人の妻が怒鳴りこんできて、話がまとまらないケースが多々あります。
遺言を書くことで、自分の意思を文書で整理し伝え、相続人同士の無用なトラブルを未然に防ぐことができます。
「遺言書なんて先の話」と思っている方も、検討してみる価値は十分にあるはずです。

遺言書を作成したほうが良いケース

遺言することで様々なトラブルが回避できます。
ここでは、遺言を残した方が良いケースを紹介します。
下記のどれか1つでも当てはまる場合は、遺言書を作成しましょう。
○兄弟姉妹が不仲
○子供がいない
○内縁の配偶者やその人との間に子供がいる
○結婚した相手に連れ子がいる
○未成年の子供がいる
○相続人が多い
○相続させたくない相続人がいる
○相続人がいない
○自営業者や農家である
○行方不明の相続人がいる

遺言書の保管

遺言は書面で書くことになっていますが、遺言によって自らの意思を実現するためには、その遺言書を相続人に見つけてもらわなければなりません。
発見してもらえなければ、せっかく作成した遺言は何の効力も発揮しません。

したがって、遺言書は遺言者が亡くなった後に相続人らがすぐにわかるような場所で、かつ隠されたり、改ざんされる心配の無い場所に保管しておく必要があります。

遺言は以下のような場所に保管されているケースが多いです

公正証書遺言の場合

公正証書による遺言は、遺言書の原本が公証役場に保管されています。
ですから、相続人となる方に遺言書を保管している公証役場の場所を伝えておけば十分です。

公証役場では、たとえ相続人であっても生前に遺言書の内容を教えて欲しいという要求や閲覧を請求したりしても、公証人がこれに応じることはありません。

国家資格者に依頼する場合

遺言書作成の際にアドバイスを受けた税理士・司法書士・弁護士に保管を頼むという方法があります。
税理士・司法書士・弁護士は守秘義務を負っており、職務上知りえた事実を第三者に洩らすことは禁止されています。

したがって、遺言書の存在すらも秘密にしておくことが可能です。

第三者に頼む場合

自筆証書遺言の場合、親族等に預けることもあります。

しかし、法定相続人など遺産に利害関係のある方に預ける場合には隠匿・改ざんの恐れがあり、被相続人の死亡後、紛争のタネとなりかねませんので、なるべく遺産に何の利害関係もない公正な第三者に保管してもらうようにしてください。

また、信託銀行へ「遺言の保管・執行」を依頼することも可能ですが、各士業事務所と提供するサービスは同じでも、料金が100万円を超えて非常に高価な場合が多いようです。

遺言執行者の選定

遺言執行者とは、相続が開始した後に、遺言者にかわって遺言どおりに遺産分割等を行っていく者のことをいいます。

遺言執行者は、相続人の全員の代理人であり、遺言を滞りなく実行することが仕事です。
つまり、遺言の内容のとおりに実行されるかどうかは、遺言執行者次第ということになります。
誰にも相談せずに遺言書を作成した場合、ほとんどの遺言執行者は相続人1人となることが多いようです。
相続人が遺言執行者になることもできますが、執行者の業務は「財産目録の作成」や「報告義務」など煩雑なことが多く、忙しい相続人にとっては負担になる場合もありますし、不満を感じている相続人からは非難を受ける可能性もあります。
また、執行者は単独で手続きを行える権限を持っていますので、他の相続人の相続分を渡さなかったり、業務を放置してしまう危険性も考えられます。
結果として、遺言の執行が円滑に進まないという事態も起こりかねませんので、遺言執行者は信頼のおける専門家に依頼する方が賢明でしょう。

遺言についてよくある質問

ここでは、遺言に関してお客様からよく頂く質問を3つ取り上げて解説していきます。

A) 中小企業の経営者の事業承継について

年々中小企業の廃業率が高まってきていますが、その原因は経済環境という外部要因ばかりではなく、事業承継が円滑に進んでいないという現状もあるようです。

よくある失敗事例

7年ほど前に創業者の社長(従業員80名の繊維会社)が亡くなられて、専務を務めていた長男が会長の持ち株を全て相続したケースがあります。

2人の弟妹は事業用資産以外の預金や不動産などを相続する旨の遺産分割協議書を作成し、署名しました。
後年社長の妻(兄弟のお母さま)の相続分に対する不満から裁判となり、長男である専務が敗訴し、会社の株式を分割しなおすことになってしまいました。

結果、その会社で働いたことのない妹までもが経営に口出しをするようになり、これまで円滑だった会社経営に支障が出るようになってしまいました。

会社の業績は悪化し、お家騒動に嫌気が差した従業員の多くが会社を去り、事業規模を大幅に縮小せざるを得なくなってしまったのです。

では、この場合、どのような遺言を遺せばよかったのでしょうか。

遺言を残すに当たり、遺留分に関する規定に違反することはできません。
ですから、基本的には遺留分を侵害しないように配慮する必要があります。

今回のケースにおいて、預金の金額や不動産の換価が次男、長女の遺留分を上回る場合は、遺留分減殺請求の可能性はありません(しかし下回る場合には遺留分減殺請求を受けることが考えられます)。
次男、長女の遺留分は、それぞれ相続財産の6分の1ずつです。
遺言書を作成するときには遺留分の計算を誤らないよう、配慮する必要があります。

もっとも、遺留分を侵害する遺言であっても、そのような遺言書を作成すること自体は違法ではありません。
遺留分減殺請求があった場合には、それに応じなければなりませんが、請求がなされなかったときには遺言は有効に執行されることになります。

したがって、遺留分を侵害される相続人に対しては、遺留分減殺請求を行使しないように希望を明記するのも1つの方法です。

ただし、そのような希望には法的拘束力はありませんので、注意が必要です。
しかし争いを未然に防止する事実上の効果を期待することが出来ます。

対策のポイント

・事業継続に必要な資産を相続させる場合に、それ以外の相続人には遺留分と同等かそれ以上の事業継続にあまり関係のない資産を残す内容にする

・遺留分を侵害される相続人に対しては、事業継続のために遺留分減殺請求を行使しないように希望を明記する

このように、経営者の他界後に大事に育ててきた会社が大幅な縮小を余儀なくされる、また、協力して会社を守り立てて欲しいと考えていた兄妹同士がいがみ合ってしまうことになります。

やはり、中小企業の経営者は絶対に遺言を残すべきなのです。

B)特定の人に相続させたくない場合

特定の人に相続をさせたくない場合はよくあります。
一体どのようにすれば、特定の人間に遺産を相続させないことが出来るのでしょうか。

よくある失敗事例

私の兄は妻子と長年別居しており、近所に住む姉と私が兄の生活を面倒見ていましたので、妻子には相続させず、姉と私に遺産を相続させたいと生前話しておりました。

しかし、兄は遺言を残すことなく、他界してしまいました。
そして、遺言がないばっかりに、私と姉は兄の遺産を相続することなく、兄が財産を渡したくないと考えていた妻や子供に全ての遺産が渡ってしまいました。

遺産分割後、専門家に話を聞くと、「妻子の遺留分が存在するので、遺産全部を渡さないことは不可能だが、遺言に一言『姉と私にも相続をさせる旨』を記しておけば、遺贈という形式で遺産は相続できました」と話してくれました。

この話を聞き、相続して欲しい人に相続させられず、相続させたくない人に財産が渡ってしまい、兄がかわいそうでなりません。
私は兄に遺言を書かせなかったことを心から後悔しています。

では、どのような遺言を書けばよかったのでしょうか。

対策のポイント

・兄弟姉妹は、被相続人に子供やその孫等の代襲相続人がなく、直系尊属(両親・祖父母)がいない場合に、初めて相続人となることができます。つまり、裏を返すと、被相続人の兄弟姉妹は遺言がなければ、遺産相続は全くできないのです。

ですから、兄弟姉妹にも相続させる旨の遺言を残す必要があったのです。

C)遺言だけを信用してはいけません。

上記の2つの例は遺言の必要性、重要性についてお話してきましたが、遺言を鵜呑みにして全面的に信用し痛い目に遭ってしまうという失敗事例を紹介します。

よくある失敗事例

5年ほど前に父が亡くなり、発見した遺言に書いてある通り、不動産、預金などを母と私と妹で分割しました。

このときは特に専門家に相談することなく、遺言の通りに母には住宅と不動産、私には3000万円ほどの預貯金、妹には額面2900万円ほどの株式をそれぞれ相続し、財産を分割しました。

そして、父が亡くなって一年後、突然固定資産税の通知が隣県のS市から父宛てに届きました。
改めて、S市の名寄帳などで調査してみると、父がそのS市に家庭菜園用の土地を保有していたことが判明しました。

しばらくすると、株式の評価額が大幅に下落してしまったために損をした妹が、「その家庭菜園用の土地を相続したい」と言いはじめ、「もし認められなければ、遺産分割を無効にする為に、裁判所に対して、『調停の申立て』か『訴訟』を起こす」と言い始めたのです。

こんなことであれば、専門家に依頼して洗いざらい財産調査をするべきだった、と後悔しています。

対策のポイント

・遺言の内容を全面的に信じ込まずに、専門家に依頼し、一度は財産調査する

このように、遺言を利用して後悔しない遺産分割を実現するためには、たくさんの事例を体験している専門家でないとポイントを押さえたアドバイスはできません。

専門家に相談しなかったばかりにかえって意図しないような結果を招く事もありますので、遺言で何か気になることがございましたら、まずは無料相談をご活用ください。

ご相談は無料です。

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