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相続お役立ちコラム

会社を次世代につなげるために、今やっておくべき相続対策

会社経営者にとって、次の世代に会社をどうバトンタッチするかは重要な課題です。
特に複数の相続人がいる場合、たとえば創業社長に配偶者がいて、子供が複数人いる場合には、社長が保有している株式をどのように承継するか、さらに継承の際にトラブルを生じさせないための配慮が必要です。
今回は相続の側面から、トラブルを防止するためのポイントを解説します。
 
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相続の対象となる財産

 
 
被相続人が死亡すると、相続が発生します。
相続の対象となるのは、死亡時に被相続人に属していた一切の権利義務です。
つまりプラスの財産だけでなく、債務もこれに含まれます。
たとえば自宅不動産が代表者名義となっていれば自宅は相続の対象となりますし、自動車なども同様です。
そして今回のポイントに関連する『株式』も、相続対象に含まれることになります。
株式は死亡した社長が保有していた自社株だけではなく、証券会社で購入した上場株や、非上場株を保有していた場合にはそれらも含まれます。
また、会社の関連で銀行などからの借入れを保証していた場合には、その保証債務も相続されます。
このようにプラスの財産とマイナスの財産いずれもが相続の対象となります。
 
 
 
 

特定の相続人に会社を継がせる方法と注意点

 
 
特定の相続人に会社を継がせようとする場合、被相続人である社長の持ち株すべてをその人物に相続させればよいのですが、実際はそれほど簡単ではありません。
特定の相続人への相続を実現するための、有効なステップについて解説します。
 
 

1.遺言書の作成

 
特定の財産を特定の人物に相続させるためには、遺言書の作成が必要です。
遺言書がない場合には、被相続人の死亡後の遺産分割手続きによって遺産が分けられることになり、どの財産を誰に相続させるかが不明確になってしまいます。
そのような事態を避けるため、あらかじめ被相続人自身が、財産の配分について指定しておくのが遺言書です。
 
遺言書は法律の要件に沿って作成する必要があります。
これは当たり前のようですが、非常に重要なポイントです。
なぜなら、法律上の要件を欠く遺言書は裁判所に無効と判断されてしまうため、遺言書を残したとしても、被相続人の意思を実現することができないからです。
法律上の要件はいろいろあります。
絶対に失敗したくないという場合には、公正証書遺言(公証役場で作成する遺言書)を活用しましょう。
公正証書遺言は公証役場で作成します。
公証役場が法律上の要件の確認もしてくれるため、要件を満たした遺言書作成が期待できます。
 
 

2.遺留分への配慮

 
法律の要件を満たして遺言書を作成すれば、被相続人の意思を実現できるかというと、必ずしもそうではありません。
気をつけなくてはならないのは、『遺留分』についてです。
これは配偶者や子といった相続人に対して、たとえ遺言があったとしても、一定の割合でその相続人の取り分を認める制度です。
この制度があるため、一部の相続人にすべての遺産を相続させるような遺言書や、1人に多額の遺産を相続させるような場合には、他の相続人から「遺留分の侵害額を支払え」と請求されることがあります。
 
遺留分の侵害額の請求はあくまで金銭的な請求であるため、特定の財産、たとえば「会社の株を渡せ」などと要求されることはありませんが、遺留分侵害額請求がなされると相続開始後のトラブルが続くことになります。
金額次第では財産を処分して費用に充当する必要も生ずるため注意が必要です。
 
 

3.どのような対応が考えられるか

 
遺留分に関するトラブルを防ぐためには、遺言書を作成する段階で、遺留分権利者に一定の財産を相続させ、遺留分の侵害状態が生じないようにすることが考えられます。
たとえば、配偶者と長男、二男がいる場合に、会社を長男に継がせたいと考えたとしましょう。
配偶者と二男に会社の株以外の財産で、全体の財産に遺留分割合を掛けた金額に相当する財産を相続させるように分配をしておくのです。
 
このような対応をとっておけば、遺留分侵害の問題を回避できる可能性が高まります。
また、遺言書にそのような分け方をする理由を、相続人が納得できるように記載することで、死後のトラブル防止を図ることもできるでしょう。
 
 

4.まずすべきこと

 
まずは経営者ご自身の財産について調査しましょう。税理士等から会社の株価を算定してもらい、現状で相続税がかかるのかどうか調べることが事業承継の第一歩です。
 
いかがでしたでしょうか。
相続対策は状況により千差万別です。
今回解説した点などに配慮し、スムーズな世代交代ができるよう準備を進めましょう。
 
※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。

使い道のない空き家を相続してしまった際の対処法

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わが国では、空き家が年々増加しており、社会問題になっています。
使い道のない空き家は、固定資産税が年々かかることに加え、近隣住民からの苦情トラブルが起きやすく、なかなか一個人には手に負えない存在です。
ではもし、自身がそうした空き家を相続した場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
今回は、空き家を相続した場合の登記手続きや、使い道がないときの活用法について解説します。
 
 
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空き家を所有することのリスクとは

総務省の調べでは、2018年時点での全国の空き家の数は848万9,000戸にもなり、その傾向は現在も続いています。
 
特に、両親が老人ホームや子ども宅に転居し、もともと住んでいた家が空き家になるケースが後を絶ちません。
もし、空き家化した親の家を相続することになったら、放置せずに対処しないと、さまざまな問題が発生することになります。
 
一つは、固定資産税や都市計画税などの税金です。
住宅用地にかかる固定資産税は通常、減額特例が認められおり、一般住宅用地は課税標準が1/3に、小規模住宅用地(200㎡以下の部分)は課税標準が1/6に減額されます。
 
しかし、2015年に施行された『空き家対策特別措置法』によって、管理状態が不十分な空き家は『特定空き家等』と指定されることになりました。
『特定空き家等』に指定され、自治体からの行政指導を受けても改善せず、さらに勧告に対しても必要な措置が講じられない『特定空き家等』の敷地については、減額特例から除外されるため、最大で6倍の固定資産税を納めることになります。
また、都市計画税についても軽減特例が適用されないため、通常の税額を支払うことになります。
 
近隣住民とのトラブルも、空き家を巡る問題の一つです。
国土交通省によるアンケート調査では、『管理水準の低下した空き家や空き店舗の周辺への影響』について、『風景・景観の悪化』が1位で、『防災や防犯機能の低下』と『ゴミなどの不法投棄等を誘発』が続きました。
 
ほかにも、雨漏りや小動物のすみかとなることで、衛生環境が悪化する、建材が脆くなって倒壊するといったリスクが考えられます。
空き家を放置したままだと、これらの悪影響からトラブルに発展する可能性もあります。
もちろん、手入れをしなかった物件は、年々資産価値が低下していくでしょう。
 
さらに、屋根の瓦や外壁の落下などで通行人が怪我をした場合、空き家の所有者が損害賠償責任を負う可能性もあります。
放置された空き家は、金銭面の負担が増えるばかりか、他人の迷惑にもなるのです。
 

相続放棄した空き家は登記の必要なし

もし、売却するあてがなかったり、遠方に住んでいて管理が難しかったりする場合などは、相続を放棄するという手段もあります。
 
ただし、相続放棄は、空き家以外の相続財産もすべて放棄することになるので注意が必要です。
また、相続人全員が相続放棄した場合、財産は国庫に帰属することになります。
そのための手続きに入るにあたり、弁護士や司法書士などを『相続財産管理人』に指定しなければいけません。
さらに、相続財産管理人が空き家の管理を開始するまでは、空き家の管理義務は相続人に残ることになります。
 
 
一方、空き家を相続すると決めたなら、すぐに相続登記を行う必要があります。
 
所有者不明の土地問題を解決することを目的に、これまでは任意だった不動産の相続登記が2024年(令和6年)4月1日から義務化されることになりました。
2024年(令和6年)4月1日からは、不動産を取得した相続人は、相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う義務があり、もし正当な理由がなく、相続登記を行わなかった場合は、10万円以下の過料の対象となります。
 
遺産の相続は、遺言書や遺産分割協議の有無などによって手順が異なりますが、相続登記自体は、戸籍謄本や土地の登記簿謄本などの必要書類を揃え、申請書類を作成すれば自分で行うことも可能です。
ただし、手間や時間もかかるため、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。
 
相続登記が済めば、所有者として空き家の利活用についても考えていかなくてはなりません。
 
一般的には不動産会社に管理を委託して、賃貸物件として貸し出したり、自らの住居として活用したりする方法などが考えられます。
貸し出したり、住んだりするためには、大規模な修繕やリフォームが必要になる可能性が高いので、費用対効果に見合うかどうかを確認して判断しましょう。
 
貸し出しや居住の予定がない空き家は、売却する方向で考えていくことになります。
相続人が複数存在する場合は、売却によって現金化することで遺産を分割しやすくするというメリットもあります。
管理が難しい場合は、思い切って手放すのも選択肢のひとつです。
一般的に不動産を売却した場合には、譲渡所得(売却価格-取得時の購入価額-売却にかかる諸費用)に対して税金が生じることになりますが、亡くなった方が居住していた空き家を売却した場合は、譲渡所得から3,000万円の特別控除が認められるという、税制面での優遇措置が受けられる可能性もあります。
ただし、そもそも立地条件が悪い・古い、といった理由で活用方法がない空き家の場合、売却にも長期戦を覚悟する必要があります。
物件の条件によっては、更地にすれば買い手が見つかりやすくなることもあるでしょう。
しかし、そういったケースでは、空き家の解体費用を売値に上乗せすることになるので、売値とのバランスを考えて判断する必要があります。
 
 
また、買い手を探すほかに、不動産会社に直接買い取ってもらう方法もあります。
一般の買い手を見つけるよりは、早く処分できるかもしれませんが、売却額が安くなりがちというデメリットはあります。
 
空き家の築年数や劣化具合によっても売却のスピードや売値は変動するため、まずは複数の不動産会社に空き家の価格を査定してもらうのがよいかもしれません。
 
※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。

相続人以外の人に遺贈すると一緒に申告する必要がある?

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登場人物
相談者:山岸さん
回答者:FUN税理士法人(以下FUN)
 
【Q:山岸】
私は自分の死後、家族だけでなく、お世話になった人たちにも財産を遺したいと考えています。遺贈という方法なら、相続人でない親族や友人などにも財産を取得させることが可能と聞いたのですが、遺贈とはどのようなものでしょうか。
 
【A:FUN】
遺贈とは遺言によって相続人や相続人以外のものに財産を遺すことで、「包括遺贈」と「特定遺贈」があります。
「包括遺贈」とは財産の全部あるいは一定の割合で財産を分割して贈ることです。財産とは別に、借金の残債等の債務があれば、それらも含めて引き受けてもらうことになります。財産を分割するのと同様に、債務も同じ割合で分割して承継します。
対して「特定遺贈」は、特定の財産を明確に指定して相手に贈ることをいいます。相続人以外に遺贈する場合、何割もの財産を遺贈することなどあまりないので、一般的には特定遺贈をすることになります。特定遺贈はこのように法定相続以外を望む被相続人の想いを実現できる手段の一つですが、いくつかのデメリットがあるため、注意しなければなりません。
 
【Q:山岸】
不動産の相続と遺贈でかかる税金にはどのような違いがあるのですか?
 
【A:FUN】
まず不動産取得税についてです。不動産を相続人が相続したとき、不動産取得税はかかりません。しかし、特定遺贈として相続人以外が特定の不動産を譲り受けた場合には贈られた側に不動産取得税が発生します。ただし、包括遺贈の場合は負債についても同様に引き継ぐこととなるため、相続人と同等の地位を有するものとして不動産取得税は非課税となります。
次に登録免許税についてです。相続や遺贈により不動産の所有者を変更する場合には、所有権の移転登記が必要です。この不動産の名義変更の手続きで必要になるのが登録免許税です。この登録免許税の税率ですが、相続人は固定資産税評価額の0.4%、第三者(包括遺贈の場合を含む)は固定資産税評価額の2%を納めます。仮に固定資産税評価額が1,000万円の場合、0.4%で4万円、2%で20万円になります。立場が違うと登録免許税にこれだけの差が出てくるのです。
 
【Q:山岸】
受遺者※が相続人でないときには相続税がかかるのでしょうか?
※遺贈により財産を取得した人
 
【A:FUN】
受遺者が相続人でない個人の場合は、遺贈により受け取った財産に対して相続税が課税されます。相続人でない受遺者が相続税を申告すると、被相続人の配偶者、一親等の血族、代襲相続人である孫となった者以外は税額が通常の2割増しになるため、注意が必要です。
さらに、相続税の申告手続きは、基本的には同じ被相続人から財産を受けた他の相続人と共同で行う必要があります。これが厄介で、原則として相続人は受遺者に全ての財産を開示して、一緒に相続税を申告しなければならないので、心理的負担が大きくなります。
相続人同士でもいがみあうことがあるのですから、第三者と一緒になって相続税の申告をすることは、相続人にとっても精神的な苦痛になる場合があります。
 
【Q:山岸】
なるほど。それはたしかに子どもたちは嫌がるでしょうね。
遺贈をする場合は、法定相続人の納得を得られるような遺言を遺す必要があるのですね。その他にも注意点はありませんか?
 
【A:FUN】
遺贈には遺留分という問題点があります。
遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹以外の相続人に認められた最低限の財産を請求できる権利のことです。遺贈によって相続人の遺留分が侵害された場合、相続人は受遺者に対して、侵害された遺留分に相当する金額の請求を行うことができるのです。遺留分は遺言の内容よりも強い権利といえます。
 
【Q:山岸】
なるほど。遺言を書いて相続人以外の人に財産を遺すことにはいろいろな問題点があるのですね。何かいい方法はないでしょうか。
 
【A:FUN】
孫やお世話になった人に財産を遺したい場合は、遺贈だけでなく生前贈与をすることも一つの方法です。生前贈与であれば、遺言の作成等は必要なく、好きなタイミングで希望の相手に財産を移すことができます。ただし、注意点もあります。
一つ目は、生前贈与も遺留分侵害額請求の対象となる点です。贈与した被相続人と贈与を受けた人の双方が、贈与によって遺留分を侵害すると知っている場合を除き、生前贈与の場合、遺留分請求の対象となるのは基本的に「相続開始前1年間」に行われたものに限られます。ただし、相続人への生前贈与(特別受益)は相続開始前10年以内の贈与が遺留分請求の対象になりますので注意が必要です。
二つ目は、暦年贈与に対する法改正の動きがある点です。今後廃止も含めてなんらかの法改正がされる予定であり、注視が必要です。
生前贈与はメリットもある反面、やり方によってはデメリットが大きい場合があります。専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
 
【山岸】
ありがとうございます。遺贈についてどういうものか、注意点がよくわかりました。
遺贈は、遺言の書き方や受遺者と相続人のトラブルなど心配なことも多いので生前贈与も選択肢の一つとして検討してみたいと思います。改めてご相談させてください。

成年年齢の引下げでどう変わる?

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令和4年4月1日から成年年齢が18歳になり、「契約」「資格の取得」など若者の生活をめぐるさまざまなルールに影響を及ぼしています。今回は、その中でも、成年年齢引き下げに伴う相続税・贈与税への影響について紹介します。
相続税は亡くなった人から財産を引き継いだときにかかる税金、贈与税は個人から財産をもらったときにかかる税金です。相続税や贈与税にも、「20歳」「未成年者」を対象にしている仕組みがいくつかあります。
 
(1)未成年者控除(未成年者の税額控除)
未成年者控除は、相続で財産を引き継ぐ人が未成年の場合、相続税を差し引くことができる制度です。財産を引き継ぐ未成年者が満20歳になるまでの年数1年につき10万円を相続税の金額から差し引くことができます。しかし、令和4年4月以降は満20歳が「満18歳」に変わりますので、控除額が2年分(20万円)少なくなることになります。実質的に負担が増える改正といえるでしょう。
 
(2)相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、60歳以上の父母・祖父母から20歳以上の子や孫が財産をもらったときに利用できる贈与税の特例制度です。相続時精算課税を利用すると、累計2,500万円までは贈与税が非課税になります。現行法上、基本的に年間110万円以下の贈与であれば贈与税がかからない(暦年課税制度)ですが、相続時精算課税を利用することで、一度に多くの財産を贈与できます。
また、暦年課税の税率は超過累進税率といって段階的に上昇(最大55%)しますが、相続時精算課税制度の税率は、2,500万円を超えた部分に一律20%の課税となるので、少ない税負担で高額贈与を行うことも可能です。
令和4年4月以降は、相続時精算課税制度を選ぶことができる年齢が「18歳以上」となります。つまり、より早い段階で相続時精算課税制度が利用でき、若い世代が財産を有効活用できるという点では、メリットのある改正といえます。
 
(3)贈与税の税率の特例
贈与税の税率には「一般税率」と、それよりも税率の低い「特例税率」の2種類があります。特例税率とは、父母・祖父母が20歳以上の子や孫に対して行った贈与について適用されます。この特例税率を受け取れる年齢も、「20歳以上」から「18歳以上」と変更されますので、これまでよりも2年早く低い税率の適用ができるようになります。
 
(4)結婚・子育て資金の一括贈与の特例
結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、父母・祖父母から結婚・子育て・育児のためのお金の贈与を受ける場合、1,000万円まで非課税で贈与が受けられる制度です。対象となるのは「20歳以上50歳未満の子・孫」でしたが、令和4年4月以降は「18歳以上50歳未満の子・孫」となります。
 
(5)住宅取得資金贈与の特例
結婚・子育て資金と同様、父母・祖父母から住宅を新築・取得・増改築するためのお金の贈与を受ける場合、500万円~1,000万円まで非課税で贈与が受けられます。対象は「20歳以上の子・孫」でしたが、令和4月以降は「18歳以上の子・孫」となります。
 
※現行法上、(4)(5)の特例が利用できるのは、令和5年3月31日までとなっています。
 
上記の通り、各種特例適用年齢の引下げによるメリットもありますので、ご自身に照らし合わせ、ご検討してみてはいかがでしょうか。

土地の相続でもめないために、事前にできる対策は?

いわゆる、相続で「もめやすい」ケースとして、遺産に土地が含まれているパターンがあります。
土地は、相続財産のなかでも高額になりやすく、預貯金のように簡単には分割できません。
また、金銭で補償するとしても、その土地をどの基準で評価するかなど、なかなか決着のつきにくい問題が出てきやすいのです。
そこで今回は、遺産のなかに土地が含まれているときにできる相続対策について説明します。
 
 
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土地の評価額を確認する

 
まず、土地の評価方法としては、主に以下の4点があります。
 

ア.固定資産税評価額

固定資産税の課税明細書や評価証明書で確認する方法。
基準として明確です。
ただし、公示地価の約7割を目安に設定されているといわれており、実際の取引価格よりも低い場合が多くあります。
 

イ.相続税評価額(路線価、倍率評価)

国税庁が公表している路線価で確認する方法。
基準として明確です。
ただし、公示地価の約8割を目安に設定されているといわれており、上と同じく、実際の取引価格よりも低い場合が多くあります。
 

ウ.公示地価

国土交通省が公表している公示地価で確認する方法。
時価に近いといわれています。
ただし、全ての土地の評価が出るわけではなく、実務上はあまり有用とはされていません。
 

エ.不動産鑑定評価額

不動産鑑定士が鑑定評価する方法。
時価に近いといわれています。
ただし、数十万円〜百万円程度の不動産鑑定料が必要になります。
 
 

相続人全員が納得できる評価額を目指す

 
土地の遺産分割協議では、上記のような評価方法を参考にしながら、相続人間で評価方法について合意できるかどうかを調整します。
合意が得られなかった場合は、各相続人が不動産鑑定士に査定を依頼して、上記「エ.不動産鑑定評価額」を算出することになります。
ただし、評価額に幅があり、ある一定の相続人に有利または不利に評価されていることもあるため、全相続人が出した査定額の中間値で合意することもあります。
 
それでも合意できなければ、裁判所に遺産分割調停を申し立て、調停で協議を続けていくことになります。
その場合、土地の評価については、裁判所が不動産鑑定士を選任し、その鑑定結果に準じて遺産分割協議を進めていくことになります。
上記記載の通り、鑑定費用は高額になることが多く、鑑定を求めた相続人が前もって納付する必要があるので、注意が必要です。
 
また、土地が誰かに賃借されている(土地賃借権)、あるいは無償で使用されている(使用貸借)場合、土地だけの評価額よりも差し引いて評価されます。
簡易な方法として、更地価格に借地権割合を乗じた借地権を差引いて算出することが一般的です。
借地権割合は国税庁が定めたもので、地域によって差はありますが、更地価格の30~90%とされます。
 
もし、これで相続人間の合意が得られない場合は、さらに鑑定を行うこともあります。
また、賃貸人と賃借人が親族関係にある場合には個別に評価を行っていく必要があります。
 
土地をどのように評価し、どのくらいの金額で合意するかは、各相続人が具体的に相続する分を算定する際に大きくかかわることです。
共同相続人の1人が土地を取得し、ほかの相続人に『代償金』を支払うという形で解決する場合は、この土地をいくらで評価するかによって、支払うべき、あるいは支払ってもらうべき代償金の額が大きく変わるため、まさに土地の評価は遺産分割協議の要といえるでしょう。
 
相続財産のなかに土地が含まれている場合は、できるだけ早いうちに評価額を調べ、どうすれば公平かつ速やかな遺産分割ができるのかシミュレーションするなどして、事前に対策をとっておきましょう。
 
 
※本記事の記載内容は、2022年5月現在の法令・情報等に基づいています。

 

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